2025-08

量子力学

第5回 周期を観測できるようにする──構造を変換し、干渉を引き出す

前回、$f(x) = a^x \mod N$ の周期性を、量子状態として物理的に構成した。出力 $f(x)$ が同じになるような $x$──たとえば $x$, $x + r$, $x + 2r$, …──が、同じ $|f(x)\rangle...
量子力学

第4回 素因数分解は「周期を見つける問題」に変えられる

素因数分解は、一見すると単純な問題に見える。ある自然数 $N$ を、どの素数の積で表せるかを調べるだけだ。だが、この単純さの裏には、計算上の深い難しさがある。特に $N$ が非常に大きくなったとき、効率よく因数を求める手段は限られている。S...
量子力学

第3回 答えはどうやって出てくるのか──観測の実装と干渉の終点

Groverのアルゴリズムでは、すべての構成を重ね合わせた状態を用意し、正解にだけ符号を反転させる操作(oracle)と、振幅を平均で折り返す操作(振幅反転)を繰り返すことで、正解構成の振幅だけを強調していく。この操作が何回か繰り返されると...
量子力学

第2回 重ね合わせを使うとは、どういうことか?

前回は、量子ビットが「0と1の両方を含んだ状態=重ね合わせ状態」を取ることができ、その状態を物理的にどう作っているかを見た。今回は、その構造が計算にどう使えるかを、Groverのアルゴリズムという例を通して見る。問題の設定:構造のない探索こ...
量子力学

第1回 量子コンピュータでは、どうやって「重ね合わせ」を作っているのか?

「量子超越」を達成したとか、IBMが100量子ビットを超えるチップを発表したといった話を耳にしたことがある人もいるかもしれない。でも、それがどれほどすごいのか、そもそも量子コンピュータとは何をどうやって動かしているのか、具体的にイメージでき...